2011年06月16日
MINE TIMES 32 号より

 最近読んだ本の中から、印象に残ったひとつの章をご紹介します。

10年ほど前に出版された「ZEN 禅」。著者はパトリス・ジュリアンさん。

 

 

 

世界が始まるのはどこから? 

自分の足元から。

当たり前のことだけど、忘れがちなことです。日本で暮らすようになって感じたことは、世界から遠のいて、しかも切り離されてしまっている人が多いなあということです。海外旅行に出かける人は増加の一方なのに、です。(中略)

僕たちと世界とをより親密につなぐもの、それは菜食主義の思想などではなく、恵みの意識。

世界は絶え間なく、あらゆる物事を僕たちに与えています。

 僕たちの体や心の内側にあるさまざまな回復機能、朝の目覚め、太陽の光、蛇口をひねると流れ出る水、温かい朝食を準備するための電気やガス、心のどこかに入ってくるなんでもない風景、そよ吹く風さえ・・・あらゆるレベルで、僕たちが力を取り戻せるよう世界は忙しく働き続けてくれています。

 だから、こうして贈られたすべてを当然のように受け取るだけではすまないと思うのです。

 与えずに受け取る、これが僕たちを世界から遠ざけ、切り離してしまいます。僕たちを生命の流れからそらせてしまいます。

 だからって、おおげさなお返しをせねばというのじゃないんです。こんな僕たちに、一秒一秒はちゃんとお返しの機会を与えてくれているわけです。微笑み、誰かの肩の上に置いた親しげな手、気持ちのいい言葉、愛情を注いで水をあげた植物、心を込めて作ったブーケや料理、真剣にやり遂げた仕事、・・(中略)・・命あるすべてのものへの無償の愛の思い、静かに腰を下ろしてじっとしていること、そしてそうすることで静けさを守ることさえも。

一日一日が恵みの機会であふれています。その全てを逃さずに。そして、僕たちの意識を眠りへささげる時間が来たら、ちょっとだけ考えてみます。今日受け取った恵みと、与えた恵みのバランスについて。

それから、その日最後の一つを捧げて眠りにつきます。生命に向けた感謝の祈りを。

 

 


パトリス・ジュリアン

 

モロッコ生まれのフランス人。フランス大使館員として来日、フレンチレストランの経営ほか広範囲で活躍。

 ”ビストロブーム”や”カフェの流行” のパイオニ アであり、”ゲランドの塩”、 ”プロヴァンスの ハーブ”、

またココット鍋の”ル・クルーゼ”と いったブランドを日本においていち早く紹介した。

23年間在日し 昨年帰国。現在は南仏在住。 

 


 
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